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MLMの説明でほぼ必ず出てくる図があります。1人が3人を誘い、その3人がまた3人を誘う。紙に書くと、きれいに広がっていきます。
この図は間違っていません。算数としては正しい。問題は、その算数が何を意味するのかが説明されないことです。
この記事では、実際に計算します。3人が3人を誘い続けると、何段目で何人になるのか。そして、どこで止まるのか。
先に結論を書きます。理論上の限界(人口)より、はるかに手前で止まります。止める要因は3つあり、そのうち最初に来るのは「日本の人口」ではありません。
★まず計算してみる|3人ずつ増やすと何が起きるか
1人が3人を紹介し、その全員がまた3人を紹介する。これを続けた場合のその段の人数と累計です。
| 段 | その段の人数 | 累計 |
|---|---|---|
| 1段目 | 3人 | 3人 |
| 2段目 | 9人 | 12人 |
| 3段目 | 27人 | 39人 |
| 4段目 | 81人 | 120人 |
| 5段目 | 243人 | 363人 |
| 7段目 | 2,187人 | 3,279人 |
| 10段目 | 59,049人 | 88,572人 |
| 13段目 | 1,594,323人 | 約239万人 |
| 16段目 | 43,046,721人 | 約6,457万人 |
| 17段目 | 129,140,163人 | 約1億9,371万人 |
17段目で、その段だけで1億2,914万人。日本の人口を超えます。
つまり「3人ずつ」が本当に続くなら、17段で日本人全員が参加している計算になります。20段まで行けば35億人を超え、世界人口の半分に届きます。
これは批判ではなく、ただの算数です。指数関数は、人間の直感よりはるかに速く増えます。
大事なのは「だから違法」ではありません
この計算を持ち出して「だからMLMは破綻する」「ネズミ講と同じ」と言う説明を見かけます。当ブログはその言い方をしません。理由は2つあります。
- 実際には、誰も17段まで到達しません。その手前で止まるので、人口を根拠にした破綻論は現実の説明になっていない
- 連鎖販売取引は法律上認められた取引形態です。無限連鎖講(ねずみ講)とは法的に別のものです
本当に見るべきは「どこで止まるか」です。ここからが本題になります。
★止まる要因は3つ|来る順番が決まっている
増加が止まる理由は3つあります。重要なのは、この3つが来る順番です。
| 止まる要因 | いつ来るか | |
|---|---|---|
| 1番目 | 知り合いが尽きる(リストの枯渇) | 1〜3か月 |
| 2番目 | 紹介できない人が出る(継続率の壁) | 数か月〜1年 |
| 3番目 | 市場の飽和(人口の限界) | 実際には到達しない |
人口の限界は、3番目です。しかも実際には来ません。その前に1番目と2番目で止まります。
1番目|知り合いが尽きる
先ほどの表は「全員が3人ずつ紹介できる」という前提で計算しました。この前提を、自分に当てはめてみてください。
あなたが声をかけられる相手は何人いますか。連絡先の数ではありません。「これから収入の話をしても関係が壊れない相手」の数です。
多くの人にとって、この数は数十人です。そして重要なのは次の点です。
- リストは補充されない。新しい知り合いは自然には増えません
- 一度断られた相手は、リストから消える。2回目は難しくなります
- 紹介した相手のリストと、自分のリストは重なる。同じ職場・同じ地域なら、候補者が競合します
3つ目が見落とされます。あなたが誘った友人が次に声をかけるのは、たいていあなたも知っている人です。組織図の上では別々の枝でも、現実の人間関係では同じ池から釣っています。
やめた理由を集計したMLMをやめた理由ランキング10でも、やめる時期の最初の山は1〜3か月でした。これはリストが一巡する時期と一致します。
★2番目|「全員が3人」は成立しない
表の前提をもう一度見てください。全員が3人ずつ紹介する。現実には、これは成立しません。
多くの会社の収入開示では、報酬を受け取っている人の割合そのものが限られています(収入開示データの読み方)。紹介ができた人だけを数えれば、さらに絞られます。
仮に「紹介できるのは4人に1人」だとすると、実効的な増加率は3ではなく0.75になります。1未満の数を掛け続けると、組織は増えるどころか縮みます。
| 1人あたりの平均紹介数 | 組織はどうなるか |
|---|---|
| 1より大きい | 増える |
| ちょうど1 | 横ばい(離脱がなければ) |
| 1より小さい | 減る |
そしてここに離脱が加わります。MLMの離脱率と組織の維持コストで計算したとおり、組織を維持するだけでも毎月の補充が必要です。
つまり実際に起きているのは「飽和」ではありません。増える前に、維持で手一杯になるという状態です。
1人の離脱が売上・資格・過去分の3か所に同時に効く仕組みはダウンが辞めたとき、自分の報酬はどうなるかで分解しました。
3番目|市場の飽和は、実際には来ない
人口の限界は理論上は存在しますが、個人の活動においては到達しません。17段目に届く前に、1番目と2番目で止まるからです。
ただし会社の規模で見ると、話は別です。国内の会員数や売上が頭打ちになる現象は起きます(会員数ランキング/売上ランキング)。
ただし、それは「あなたが紹介できない理由」ではありません。市場が残っていても、あなたのリストが尽きていれば結果は同じです。飽和は会社の問題、リストは個人の問題——ここを混同しないでください。
★「2人ずつ」ならどうなるか|バイナリーの場合
バイナリープラン(2系列)では、直下に置けるのは2人までと決まっています。3ではなく2で計算するとどうなるか。
| 段 | その段の人数 |
|---|---|
| 10段目 | 1,024人 |
| 21段目 | 約210万人 |
| 27段目 | 約1億3,422万人(日本の人口を超える) |
| 31段目 | 約21億人 |
3人ずつなら17段、2人ずつなら27段。段数は伸びますが、結論は変わりません。指数関数は必ず人口にぶつかります。
バイナリーで特有なのはスピルオーバーの説明です。「上の人が紹介した人が自分の下に落ちてくる」と言われます。仕組みとしては実際にあります(強制スピルの仕組み)。
ただし、ここは正確に理解してください。上位者が下に人を置くのは、自分の弱い側の脚を埋めるためです。あなたのために置いているわけではありません。
そして置かれた人が活動しなければ、人数は増えても報酬は生まれません。バイナリーは両脚のバランスで報酬が決まるため、弱い脚(ペイレッグ)が伸びなければ計算に入りません。「落ちてくるから大丈夫」は、段数の話であって報酬の話ではないということです。
★自分のリストを数える|3分で終わります
この記事でいちばんやってほしいのは、図の段数を数えることではありません。自分のリストを数えることです。手順は3分で終わります。
- スマホの連絡先とSNSのフォローを開く。まず全体の数を見ます
- 「収入の話をしても、断られたあとも関係が続く人」だけを数える。ここで大きく減ります
- そのうち「今、お金や働き方に不満がありそうな人」に絞る。さらに減ります
- 残った数を書き出す。これがあなたの実質的なリストです
多くの人にとって、この数は10人〜30人程度に収まります。連絡先が500件あっても、です。
そのうえで、最初の表の1段目を見てください。必要なのは3人。一見すると届きそうな数字です。
しかし2段目に進むには、その3人がそれぞれ3人を見つける必要があります。あなたのリストが20人なら、その3人のリストも同じくらいだと考えるのが自然です。そして、そのリストはあなたのリストと重なっています。
組織図は無限に描けますが、人間関係は有限です。この記事の結論は、それだけです。
数えた結果が「思ったより少ない」となった場合、それはあなたの人望の問題ではありません。誰でもそうです。やめた理由の上位に人間関係が並ぶのは、この有限性が原因です。
人脈を使わずに収入を作る方法を比較した人気の副業ランキング2026も、判断の材料になるはずです。
★段数が伸びても報酬が増えない理由
もうひとつ、図が説明しないことがあります。段数と報酬は比例しません。
報酬プランには、必ずどこまで報酬が流れるかの設定があります。
| プランの型 | 報酬が流れる範囲 |
|---|---|
| ユニレベル型 | ◯段目までと規定されるのが一般的 |
| ブレイクアウェイ型 | 一定条件で組織が切り離される |
| バイナリー型 | 両脚のバランスで計算。段数そのものより脚の売上 |
| マトリックス型 | 幅と段数の両方に上限 |
つまり10段目に1,000人いても、報酬の対象が5段目までなら、その1,000人は計算に入りません。
さらに報酬上限(キャップ)が設定されている場合、一定額を超えた分は支払われません。組織図は無限に伸びますが、報酬規定には必ず端があります。
だから確認すべきは「何人まで増やせるか」ではなく、「何段目まで報酬が来るか」です。見るべき3つの数字で挙げた①分母②段数③停止条件のうち、②がこれにあたります。
図の段数と報酬の段数は別のもの——ここを分けて考えるだけで、説明の受け取り方が変わります。
よくある反論|「SNSがあればリストは尽きない」
この記事の話をすると、必ず返ってくる反論があります。「昔と違って、SNSで知らない人にも届く。だからリストは尽きない」。
SNSが配信のコストを下げたのは事実です。1人に届けるのも1,000人に届けるのも手間は変わりません。
ただし、フォロワーの中身は変わっていません。実際にSNSだけで組織を作る設計で始まった会社を検証したYouniqueのレビューでも、見込み客が友人・知人であるという構造は消えませんでした。
むしろSNSでは、断られ方が可視化されます。既読、ミュート、フォロー解除。対面なら1回で終わった話が、投稿として残り続けます。リストが尽きる速度は、下がるどころか上がることがあります。
★では、この図は何のためにあるのか
ここまで読むと「では、あの図は嘘なのか」と思うかもしれません。嘘ではありません。ただし、用途が違います。
| 図が示していること | 図が示していないこと | |
|---|---|---|
| 人数 | 報酬が何段まで流れるか | その人数が集まる確率 |
| 時間 | — | 何か月かかるか |
| 費用 | — | その間に自分が払う額 |
| 前提 | 全員が3人紹介する | 紹介できない人がいること |
| 離脱 | — | 抜けた人の扱い |
組織図は「報酬がどう流れるか」を説明する図であって、「何人集まるか」を予測する図ではありません。この2つを混同すると、可能性の話が見込みの話にすり替わります。
報酬シミュレーションの罠で扱った「月収◯万円」の試算も、たいていこの図を前提にしています。確認すべきは計算式ではなく、前提のほうです。
勧誘の場で使える3つの質問
図を見せられたときに聞くと、話が具体的になります。
- 「この図の3人は、平均何人ですか?」——実績値を聞く質問です。1未満なら組織は縮みます
- 「あなたの直紹介は今、何人アクティブですか?」——目の前の人の実数。アクティブ資格を満たしている人数で聞く
- 「私が声をかけられる人は何人だと思いますか?」——リストの上限を相手に見積もらせる質問です
3番目が効きます。紹介する側は、あなたのリストの大きさを知りません。にもかかわらず、図は「あなたも3人集められる」という前提で描かれています。
答えにくそうであれば、それ自体が情報です。規約から自分で読む手順は報酬プランの規約を自分で読む7ステップにまとめました。
まとめの前に|この記事で断定していないこと
| 論点 | 本記事の立場 |
|---|---|
| MLMが必ず破綻するか | 言わない——人口を根拠にした破綻論は現実の説明になっていない |
| 連鎖販売取引の適法性 | 否定しない——法律上認められた取引形態であり、無限連鎖講とは別 |
| 実際の平均紹介数 | 断定しない——本記事の0.75等はあくまで計算例 |
| 特定の会社の飽和状況 | 判定しない |
| 稼げるか稼げないか | 決めない——判断材料を出すのが本記事の役割 |
まとめ|止まるのは人口ではなく、あなたのリスト
3人が3人を紹介し続けると、17段目で日本の人口を超えます。これは算数として正しい。
しかし実際にはそこまで到達しません。止まる要因は3つあり、来る順番は決まっています。①知り合いが尽きる(1〜3か月)②紹介できない人が出る(数か月〜1年)③市場の飽和(実際には来ない)。
つまり「市場が飽和したから稼げない」ではありません。その手前で、自分のリストが尽きています。そしてリストは自然には補充されません。
だから、図を見せられたときに確認することはひとつです。「3人」が実績値なのか、願望なのか。平均紹介数が1を下回れば、組織は増えるどころか縮みます。
先に自分のリストの人数を数えてください。図の段数より、その数字のほうがあなたの結果を決めます。
関連して、MLMの離脱率と組織の維持コスト、オーバーライドとは、MLMの組織は相続できるのかもあわせてご覧ください。
この記事を読んで「自分には合わないかも」と感じた方へ
ここまで見てきた構造を踏まえて、「知人に紹介するのは気が進まない」「継続購入や在庫の負担が重い」と感じたなら、無理に続ける必要はありません。
収入を増やす手段は、ほかにもあります。たとえば、自分の得意なことを直接売るという方法です。
ココナラは、デザイン・文章作成・相談・イラストなど、自分のスキルを商品として出品できるスキルマーケットです。登録は無料で、在庫を抱える必要も、人間関係を使う必要もありません。
一方で、「今すぐ売れる得意がまだない」と感じるなら、先にスキルを身につけるという順番になります。SkillHacks(スキルハックス)はプログラミングを動画で学べるオンライン講座、クリエイターズジャパンは動画編集を体系的に学べるスクールです。詳細は各公式ページでご確認ください。
ただし、これらのスクールはいずれも有料です。まずは無料のココナラで小さく試し、必要だと実感してから検討しても遅くありません。
もちろん、MLMそのものを否定するものではありません。大切なのは「どちらが正解か」ではなく、自分に合う形を納得して選べるかです。
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※本記事の計算は3人ずつ紹介が継続した場合の理論値であり、特定の会社や個人の実績を示すものではありません。連鎖販売取引は特定商取引法の規制のもとで認められた取引形態であり、無限連鎖講(ねずみ講)とは法的に区別されます。契約条件は必ず概要書面と報酬規定でご確認ください。

